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脂質異常症の分類と特徴@たんぽぽ薬局健康情報発信

今日の健康情報は脂質異常症についてです。

脂質異常症は生活習慣病の1つとして知られています。
病気についてなんとなくは知っているけれども、詳しく聞かれるとちょっとわからないこともあるのではないでしょうか?

今回は脂質異常症の分類と特徴について紹介します。
この記事を読んで脂質異常症の知識を増やし、脂質異常症になったときに正しく対応できるようにしておきましょう。

脂質異常症の分類

脂質異常症には、診断結果によって4種類の症状に分類されています。
今回は各脂質異常症について紹介しつつ、それぞれの疾患の特徴や診断基準について紹介していきます。

脂質異常症の分類を下に記します。
・原発性脂質異常症
・高LDLコレステロール血症
・低HDLコレステロール血症
・高トリグリセリド血症

名前を見ただけでは全く症状の内容が分からないと思いますので、1つ1つ解説していきます。

原発性脂質異常症

原発性脂質異常症とは、遺伝的な要因、あるいは遺伝子変異によって発生する脂質異常症のことを示します。
別名が家族性コレステロール症と言われており、母親と父親から受け継いだ遺伝子が壊れてしまうことによって、遺伝子変異が起きてしまいます。
原発性脂質異常症でよく見られるのは、肝臓に存在するLDLコレステロール受容体が正しく発現していないという場合があります。

LDLコレステロールは肝臓からコレステロールを各組織へと運搬する働きがあり、役目を終えたLDLコレステロールは肝臓のLDLコレステロール受容体によって捕獲され血中から取り除かれ、濃度が一定に保たれています。
原発性脂質異常症の患者はLDLコレステロールが適切に回収されず、LDL値が非常に高くなっている状態が続き、脂質異常症が進みます。
この疾患は、新生児に発症する場合が多く、血管組織や内臓器官が十分に発達しておらず、特に危険な状態が続きます。
主な治療法としては、脂質制限や糖質制限を施した食事にしたり、薬物治療などが選択されます。

参考資料:難病情報センター「家族性高コレステロール症」

高LDLコレステロール血症

高LDLコレステロール血症とは、LDLコレステロール値が基準値を超えている場合に診断されます。
まず始めに基準値を確認しましょう。一般的には140㎎/dL未満が適切な値と言われています。この値を超えてしまうと高LDLコレステロール血症として診断されます。

原発性脂質異常症とは異なり、適切にLDL受容体は発現していますが、それでもLDLの回収が追い付かなかったり、過剰のLDLが作られていることによって発症します。

LDLコレステロールはLPLという酵素によって活性化されています。さらに、LPLはインスリンによって活性化されています。しかし、糖尿病の人や肥満気味の人では、インスリンの効果が弱くなっており、結果的にLDLコレステロールの働きが悪くなり、血管内に滞留しやすくなっています。
LDLコレステロールは血管壁に沈着することで動脈硬化症を引き起こし、そこから更なる合併症を誘発します。
参考資料:厚生労働省HP

低HDLコレステロール血症

HDLコレステロールとは、LDLコレステロールによって配られたコレステロールを回収する役割があります。コレステロールが各組織で余っている状態は身体にとって良い状態とは言えません。このことから、HDLコレステロールは余分なコレステロールを肝臓に戻すことでコレステロール値を一定に保っています。

HDLコレステロールの適正な濃度は40 mg/dLと言われており、この基準を下回ることで低HDLコレステロール血症と診断されます。
HDLコレステロール血症の主な原因は喫煙、肥満、運動不足などが挙げられます。原発性の原因としてはTangier病、LPL欠損症、アポA-Ⅰ欠損症などがあります。
参照:脂質異常症の病態と治療 各論3 低HDLコレステロール血症の治療とエビデンス、佐々木淳

HDLコレステロールが不足するとコレステロールがうまく回収されないことから動脈硬化が進み、冠動脈疾患などが進行しやすくなります。
参考資料:厚生労働省HP

高トリグリセリド血症

高トリグリセリド血症とは血中の中性脂肪量(トリグリセライド)が基準よりも増加している状態のことを指します。

標準の中性脂肪の濃度は150mg/dL未満ですが、この値を超えることで高トリグリセライド血症として診断されます。

中性脂肪の主な体内での働きはエネルギー源として体脂肪として貯蓄されます。特に食後は、食物を摂取することでエネルギーを得ていますから、このエネルギーを利用して中性脂肪の合成が進行します。つまり、食後にすぐ昼寝をしたり、動かないでごろごろしていると体脂肪がどんどんたまっていくということになります。
「食べて寝ると豚になる」という言い伝えは間違えでなく実際に起こります。

中性脂肪は先ほど出てきたLPLという酵素の作用を受けます。中性脂肪はLPLによってレムナントと呼ばれる物質に変換され血管障害の危険因子の一つとなります。
レムナントは血管壁に入り込み、プラークを形成することによって動脈硬化を引き起こし、結果的に血管障害などを引き起こします。

中性脂肪が高くなりやすい人の特徴としてはアルコールが好きな人や暴飲暴食を繰り返している人などが挙げられます。
摂取するカロリーが多ければ多いほど、その分解糖系やピルビン酸回路が回りエネルギーが作られます。
このエネルギーを利用して中性脂肪が合成され、中性脂肪濃度が上昇していってしまいます。
参考資料:厚生労働省HP

まとめ

このように、脂質異常症にはいくつかの種類があり、そのどれもが動脈硬化症につながる危険性を含んでいます。
一度、健康診断を受診し、血液の値に異常が見られた人は、定期的に医者を受診することをお勧めします。

たんぽぽ薬局では常に健康相談を受け付けており、不安や疑問を抱えている方は気軽にご連絡ください。
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